大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和31年(し)23号 決定 1956年9月18日

主文

本件各特別抗告を棄却する。

理由

本件特別抗告の理由は、後記のとおりである。

所論中判例違反の点は、原決定が高松高等裁判所昭和二五年(く)九号同年三月一八日の決定と相反する判断をしたと主張するのであるが、論旨引用の判例は、同一の裁判官が或る被告人に対する公訴事実につき審理するに先立ち、その被告人と共同関係にある他の被告人に対する同一公訴事実につき有罪の言渡をした事案に関するものであって、本件に適切でなく原決定は右判例と相反する判断をしたものではないのみならず、当裁判所の判例は、同一の裁判官が共犯者の公判審理により被告人に対する事件の内容に関し知識を得たからとて、その一事をもって忌避の理由があるものとすることかできない旨すでに判示(昭和二八年(あ)二三九二号同年一〇月六日第三小法廷判決、集七巻一〇号一八八八頁)しているのであるから、所論は理由がない。

その他の所論は、刑訴四〇五条に規定する事由があることを主張するものではないので、適法な特別抗告の理由とならない。

よって、刑訴四三四条四二六条一項に従い、裁判官全員の一致した意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 島 保 裁判官 小林俊三 裁判官 垂水克己)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例